発達障害は、主に広汎性発達障害(PDD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、知的障害の総称です。これらの障害は臨床的にはいくつか併存することがあります。
文部科学省が2012年に行った疫学調査によると、PDD傾向のあるお子さんの割合が1.1%、ADHD傾向のあるお子さんの割合が3.1%、LD傾向のあるお子さんの割合が4.5%であることが分かりました。1クラスで約2~3人のお子さんが、発達障害傾向を持っていることになります。
発達障害は、脳の機能障害ですがその原因ははっきとはわかっていません。行動や思考の偏りが低年齢のうちから出現することが特徴です。目には見えにくい障害であるため、本人のわがままと思われたり、親のしつけのせいと誤解されることもしばしばありますが、脳機能障害が原因であり本人の性格や保護者の育て方の問題ではありません。
発達障害の治療は、心理社会的治療(療育、周囲の適切な理解やサポート、環境調整など)と、必要であれば薬物療法を組み合わせて行います。
発達障害は持って生まれた脳の機能の問題であるため、障害自体が完全に消失することはありませんが、心理社会的治療や薬物治療により、その特徴や症状を改善することができます。
ここで大切なのは、治療の標的がその発達障害の中核症状の軽減だけではなく、むしろそこから生み出される有害な影響、例えば、度重なる叱責、いじめられ体験、自己評価や自尊感情の低下などを最小限に抑え、お子さんが本来持っている能力を発揮し、可能性を開花させ、自尊感情を高めることにあるということです。
院長ブログでもまとめていますのでご参考ください。
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子どもの発達障害-早期介入の意義について part②
ですから、その子の特性を知り、その子に合った対処方法を考え、支援を行うことが大切です。
そのためには、家庭、学校、医療、行政などの関連機関が連携をとりながら、心理社会的治療を行う必要があります。
当院では、生活指導や薬物療法に加えて、教育機関や行政機関と連携をとりながらその子にあった支援を行っていきます。
医師が必要と判断した際は、カウンセリングや心理検査、発達検査を行っています。
また、当院で行った発達検査の結果をもとに、親御さんに対して、その子に合った個別療育の指導や、ペアレントトレーニング、行動療法の指導なども行っています。